広報誌の閲覧率を数値化して効率アップ&コスト削減

連携医療機関へ向けて、自院の特徴、新しい設備導入、体制変更などをお知らせするために、定期的に広報誌を送付されている病院様が多いかと思います。今回のテーマは、広報誌が連携医療機関にどれくらい読まれているかについてです。一般企業としてのマーケティング活動の経験や、弊社のお客様の連携活動のサポートの経験をもとに考えていきます。

広報誌の目的・役割とは

まず前提として、今回は患者様向けの広報ではなく、連携医療機関をターゲットにした広報に限定して考察していきます。

多くの場合、広報活動のゴールは『地域の医療機関からより多くの患者様を紹介してもらうこと』かと思います。自院の得意領域における最新治療技術、新任医師の紹介、診療科の新設などの情報は、ゴールを達成するうえで重要な情報です。連携室や広報のご担当者様は、連携医療機関に自院の魅力を最大限伝えるにはどうしたらよいか、日々試行錯誤しておられるかと思います。

その中で、広報誌は定期的に自院の魅力を伝えられる重要なツールです。ただ、広報誌が誰に、どれくらい読まれているのかを把握することで、より効率的に自院の魅力を連携医療機関に伝えることが可能になります。

自院で発行している広報誌の閲覧率を把握されていますでしょうか? この質問に対して『NO』と回答された方は、以降に解説する内容は参考になるはずです。

読まれているか分からないとどうなる?

広報誌の閲覧率を確認する方法の説明の前に、「誰に」「どれくらい」読まれているかが分からないことによって発生する問題点について、コンスタントに紹介をいただいているAクリニックを例に解説します。

【ケース1】Aクリニックの先生は広報誌を「読んでいない」

メール記事読んでないケース

コンスタントに紹介をいただいていても、欠かさず広報誌を読んでいただいているとは限りません。仮に、Aクリニックが広報誌を読んでいない場合、下記のような問題がすでに起こっている可能性があります。

  • 新しい情報がタイムリーに伝わらないため、紹介をいただける機会を逃がしている。
  • 過去の古い情報を元に判断しているため、紹介時にミスマッチが起こる。
  • 自院にネガティブな印象があり、一方的に広報誌を送り続けていることを不快に感じている。

定期的に連携医療機関の先生方にアンケートを取ったり、訪問や電話でヒアリングするなどの機会をつくれば、上記の問題は特定できそうです。ですが、誰が広報誌を読んでいないのかを分かっていないと、手当たり次第の対応になり大変非効率になりそうです。他の業務や勤務時間の都合もありますので、効率よく問題を特定したいところかと思います。

【ケース2】Aクリニックの先生は広報誌を「欠かさず読んでいる」

メール記事読んでいるケース

Aクリニックの先生が自院の広報誌を欠かさず読んでいる場合、自院に対する印象はとても良い状態にあるといえます。だからこそ、良い関係性を維持するためのコミュニケーションには細心の注意が必要になります。広報誌をよくお読みになっていることを知らずにいると、下記のようなことが起こり将来的に関係性が悪化する可能性があります。

  • 訪問や電話の際に広報誌と同じ内容を話してしまい、時間の無駄と思われる。
  • Aクリニックの運営に関係ない情報を広報誌で発信してしまい、自院への関心が低下する

ちょっとしたことだと思われるかもしれませんが、Aクリニックの先生は自院に高い期待をしていますので、常に最適な情報・サービスを届けてくれる存在であることを願っています。期待に応え続けることで安定的に紹介をいただくことにつながるので、可能な限り適切な対応を心掛けたいところです。

広報誌が読まれていないことで起こる可能性のある問題について、2つのケースを用いて説明しました。もちろん、Aクリニックだけが連携医療機関ではありませんので、これらの問題に個別対応するのには限界があります。しかし、前述したように「誰に」「どれくらい」読まれているのか把握できれば、この問題に対して仮説を立てて対処できるようになります。

大変お待たせいたしました。次章からいよいよ、広報誌の閲覧率を把握する方法について解説いたします。

広報誌の閲覧率は簡単に計測できる

まず、印刷物(紙)の状態の広報誌では、閲覧率を把握するのは困難です。前述のとおり、アンケートを取ったり、訪問・電話でヒアリングをすれば可能ですが、予算と人的リソース(≒本施策に必要な担当者数)を確保する必要があります。

また、仮に閲覧率を把握できて、「欠かさず読んでいる」の回答数が多かったとしても、次回以降の広報誌も継続して読んでいただける保証はありません。そのため、各回ごとに広報誌の閲覧率をチェックして振り返りを行い、医療機関ごとに状況を整理することが大切になります。広報誌を毎月発行している病院様も多いかと思いますので、最小限の予算と人的リソースで実現したいところです。

この課題を解決する方法として、メール形式で広報誌を送付する方法への転換をおすすめします。メール(HTMLメール形式)で広報誌を送ることで、以下の情報を取得できます。

  1. 【開封数/開封率※1】誰がメールを開封したかが分かる
  2. 【クリック数/クリック率※2】誰がメールをクリックしたかが分かる

※1:開封率
配信したメール総数に対して、メールを開封した人(施設)の割合。

※2:クリック率
配信したメール総数に対して、メール本文内のURLをクリックした人(施設)の割合。

1つ目の【開封数/開封率】では、印刷物でいうところの「封筒から広報誌を取り出した連携医療機関がどれくらいいたか」が分かります。もしメールを開封していない場合は、もちろん広報誌の内容は把握されていませんし、自院がメールを送付していることにも気づいていない可能性もあります。そのような状況が続いている場合はフォローが必要ですが、ピンポイントで対応できるため効率的に対処できます。メールを開封している場合、少なくとも自院から広報誌を送付していることはご認識いただけている状態です。広報誌を実際に読んだかどうかは、次の【クリック数/クリック率】で分かります。

2つ目の【クリック数/クリック率】では広報誌を読んでいただけたのか、それとも読んでいただけなかったのかが分かります。開封をしたのにクリックしていない場合は、メールの内容に興味を持てなかった可能性が高いといえます。

下記は、弊社がサポートしている病院様の開封率・クリック率の参考値になります。この参考値よりも大幅に下回る場合は、メールや広報誌の内容を見直す必要があるかもしれません。

<参考>メールの効果
  • 開封率:~60%
  • クリック率:20~30%

このように、開封率やクリック率を把握することで広報誌の閲覧率が把握できるようになりますので、戦略的な見直しが可能になります。他にも、メール形式で広報誌を送付することで下記のようなメリットがあります。

  1. 印刷、封入・封緘、郵送が不要になるため、コストカットできる。
  2. コンテンツを小出しにして、連携医療機関の先生との接点を増やせる。
  3. 連携医療機関の各先生の興味・関心に合わせて、案内する内容を個別に変更する。

2つ目と3つ目については、また別の機会で解説したいと思います。

foro CRMを活用した解決策

弊社が提供しているforo CRM にはHTMLメール機能が備わっており、メール形式で広報誌を送付することが可能です。foro CRM のHTMLメール配信機能について、簡単にご紹介します。

下記の通り、メール単位で送信数、開封率、クリック率を一覧で見ることができ、どのメールが最も反応良かったのかや、逆に反応が悪かったのかを確認できます。数値を見て一喜一憂するためではなく、問題・課題がないのかを仮説が立てられるように一覧で見れるようになっています。

HTMLmail_rate


個別のメールについて、どの連携医療機関の先生に開封・クリックしていただいたのかを確認することができます。

ぼかし入れサイズ変更後


ここで重要なのが、何かしらの法則や傾向がないかを思考することです。例えば、クリックした連携医療機関には共通の特徴があるかもしれません。院長先生と同じ大学を卒業していて定期的に連絡を取り合っている関係であったり、他の連携医療機関よりも頻繁に紹介をいただいているなどの特徴があるかもしれません。

前者であれば、院長先生にメールで送った内容の詳細を連携医療機関の先生方に伝えていただくことで、紹介数を伸ばすきっかけになるかもしれません。後者であれば、メールの内容が紹介数を伸ばすきっかけになっていることの証明かもしれません。他の連携医療機関の先生にも興味を持ってもらうための改善をすることで、紹介数を伸ばすきっかけになるかもしれません。

foro CRM では、連携医療機関ごとに基本情報だけではなく紹介数の推移やコミュニケーションの履歴が確認できるようになっていますので、分析がしやすい環境が整っています。

foro画面

 

foro画面2

まとめ

今回は、広報誌が連携医療機関にどれくらい読まれているかをテーマに解説いたしました。広報活動に少しでもお役に立てたら幸いです。弊社サービスforo CRMに関して詳しく知りたい方は、ぜひお問い合わせいただけますと幸いです(お問い合わせはこちら)。次回は、「メールコミュニケーションの実践編」についてお話しできればと思います!