事例インタビュー

社会福祉法人 同愛記念病院財団 同愛記念病院 様

作成者: 管理者|Jun 30, 2022 11:57:41 PM

同愛記念病院様は10月28日付で地域医療支援病院の申請を行い、2022年3月31日に地域医療支援病院の承認を受けられました。

今回は『foro CRM』の導入の背景から、地域医療支援病院の承認を受けるまでの活動内容を中心に、地域医療連携室の木村様にお話を伺いました。

【背景】なぜ、地域医療連携に力を入れているのか?

まず、貴院の特徴を教えていただけますでしょうか。

木村様:同愛記念病院は、24の診療科を持つ病床数403床の急性期病院(東京都指定二次救急医療機関)です。「同愛記念病院は地域の要請をふまえ地区の基幹病院として親切で適切な医療を提供し社会に貢献します。」を理念に掲げており、診療体制の強化、地域の医療機関及び介護福祉施設等との連携強化に力を入れています。


図1:同愛記念病院様 外観

いつから、地域医療支援病院の承認を目指されていたのでしょうか?

木村様:2019年から地域医療支援病院の承認を得るための活動を開始しました。当時は前方連携の担当者がいない状態で、私が担当者となりました。当時の状況としては、泌尿器科や整形外科などは地域の医療機関の先生からの認知度が高い一方、例えば消化器内科は人員が増えたことによって診療の幅が広がったのですが、地域の医療機関の先生方に認知してもらえていない状況でした。そのため、『foro CRM』を導入する以前から、当院の特徴やできることを正しく認知していただくために、地域の医療機関に訪問活動を行っていました。

前方連携における訪問担当者は木村様のみとお伺いしています。ご不安ではありませんでしたか?

木村様:不安はありませんでした。営業は絶対やりたくないと思ってはいましたが、地域医療支援病院の承認を目指すと決めた以上、やることをやるだけでした。とはいえ、営業経験があるわけではなかったので、最初は見よう見まねでしたが、数を重ねていくうちに段々と話し方や接し方がつかめるようになってきて、気づけば年間のべ230件ほどの医療機関に訪問していました。そうすると、新たな課題が浮き彫りになってきたのです。

【導入前】当時抱えていた課題は何だったのか?

『foro CRM』をご導入いただいたのは2021年2月ですが、当時抱えていた課題を教えてください。

木村様:『foro CRM』を導入する以前から地域の医療機関に訪問活動をしていて、年間のべ230件医療機関に訪問しました。その中で、以下の4つの課題が浮き彫りとなりました。

  1. 訪問記録、紹介件数推移等の統計、診療所所在地がわかるマップが別々のファイルとして存在しており一元化されていなかった。
  2. 導入前に年間のべ230件医療機関に訪問したが、訪問後紹介が増えたかどうか測定できていなかった。
  3. 訪問時に医師等に話す内容を事前に整理できておらず場当たり的であった。
  4. 訪問記録の記載内容が統一されておらず、目的やゴールがわかりにくかった。

もう少し簡単にまとめますと、

 『訪問をする前の情報収集に時間が掛かる』
 『訪問をしたことによって紹介数にどんな影響があったのか分からない』
 『前回の訪問時に何を話したかが分からないことがあって訪問計画が立てづらい』

という課題でした。ただ、この課題を解決することができれば、もう一段階質の高い訪問活動ができるという確信がありました。

【導入後】どのようにして課題を解決していったのか?

まず、貴院で取り組まれた活動についてお話しいただけますでしょうか?

木村様:私の訪問の仕方は、アポイントを取る場合と取らない場合の2パターンあります。数としては、アポイントを取らないで訪問をする方が多いです。もちろん、どうしても訪問先の医師に伝えたいことがある場合にはアポイントを取るようにしています。ただ単に、情報を届けたいだけの場合には、アポイントを取らずに10〜20件まとめて訪問するようにしています。墨田区は他の医療圏に比べて診療所が多いのですが、駐車場がない診療所が多いので、小回りが利く自転車に乗って訪問しています。自身の健康管理にも効果があるので、一石二鳥でおすすめです(笑)。

近隣の駅とも連携しているとのことですが、詳細について教えていただけますでしょうか?

木村様:両国駅、錦糸町駅と協定を結び、2021年からFaceTimeというビデオ通話ツールを使って、駅で急病人が出た際に患者さんの状態を診て救急車での搬送の可否を医師が判断し、搬送すると判断した場合、救急救命士が駅に向かい当院までの搬送を行う取り組みを開始しております。昨年度は20名以上の患者さんを駅から当院に搬送しました。

これらの活動の中で『foro CRM』をどのように活用されましたか?

木村様:当院が解決したかった課題は、foro CRMを導入したことで全て改善しました。まず、1つ目の課題は「訪問記録、紹介件数推移等の統計、診療所所在地がわかるマップが別々のファイルとして存在しており一元化されていなかった」についてですが、導入前は3つのExcelファイルに分かれていて、情報を探すのも分析をするのも一苦労でしたが、foro CRMを導入することで3つに分かれていたファイルは一元管理が可能となりました。


図2:foro CRMで3つのファイルを一元管理(foro CRMデモ用画面)

木村様:2つ目の課題「導入前に年間のべ230件医療機関に訪問したが、訪問後紹介が増えたかどうか測定できていなかった。」については、foro CRMの個別効果検証という機能で解決することができました。訪問をした後に紹介数に増減があったかどうかを確認することができるので、逐次確認して次の訪問計画を立てています。


図3:個別効果検証機能で訪問後の紹介数増減を確認(foro CRMデモ用画面)

木村様:3つ目の課題「訪問時に医師等に話す内容を事前に整理できておらず場当たり的であった。」と、4つ目の課題「訪問記録の記載内容が統一されておらず、目的やゴールがわかりにくかった。」については、foro CRMには訪問の目的・ゴール・ストーリーを事前に記録・想定しておくことができ、後で振り返ることもできるので導入前よりも質の高い訪問活動を行うことができています。


図4:訪問記録はコミュニケーション機能で管理(foro CRMデモ用画面)

木村様:導入前に抱えていた課題はforo CRMを導入したことで全て改善し、地域医療支援病院の承認を2022年3月31日に得ることができ、当初の目的を達成することができました。

目標を達成したとはいえ、ご苦労もあったかと思います。この1年間で最も苦労したことは何ですか?

木村様:コロナ渦で訪問活動があまり行えなくなってしまったことです。より認知度を高めなくてはと思っていたところでしたので、その中で訪問活動ができないというのは歯がゆい思いでした。とはいえ、できないことに言い訳をしていても地域医療支援病院の承認を得るという目的は達成できませんので、1件1件の訪問活動を大切にしようと考え、質の高い訪問活動を追求するようにしました。foro CRMで紹介数の増減などを確認して訪問先を厳選したり、過去のコミュニケーション履歴を確認して訪問計画を念入りに練ったりなどして、質の高い訪問活動を実現することに注力できたことは良かったと思っています。

【今後の展望】今後は何を目指していくのか?

地域医療支援病院の承認を得るという当初の目的は達成したかと思います。次に目指していくことは何でしょうか?

木村様:地域医療支援病院の承認を得ることができましたが、当院は「地域の要請をふまえ地区の基幹病院として親切で適切な医療を提供し社会に貢献します。」という理念を掲げているので、これで終わりだとは思っていません。地域医療支援病院を維持することだけではなく、地域の皆様により良い医療を提供していかなければなりません。行政・医師会と連携しながら地域連携パスを進めるなど、まだできていないこともたくさんあります。ただ、まだ当院にとって未知の領域ではありますが、不安はありません。地域医療支援病院の承認を取得する過程での院内で協力する体制はすでに築けているので、医師・看護師・コメディカル・事務が一丸となって地域の医療を守っていく所存です。